市場全体の成長見込み
2025年度の日本経済は、個人消費や企業の設備投資が緩やかに持ち直す中で、通信機器の需要も着実に伸びると見られています。特に、テレワークや動画配信サービスの普及による高速大容量データトラフィックの増加、そして生成AIの急速な拡大が、通信インフラへの投資を後押しするでしょう。
長期的な視点で見ると、2030年度には需要総額が5兆1,307億円に達し、2024年度と比較して10.9%の増加が予測されています。これは、AI時代の爆発的なデータ流通に対応するための次世代通信技術(6G)の研究開発や、地方に分散配置されるデータセンター群をつなぐ光ファイバー網の高度化、海底ケーブルの増強といった戦略的投資が不可欠であるという認識に基づいています。日本のICT産業がこの大きなチャンスを捉え、強靭な通信基盤を築くことが期待されます。

2025年度の市場見通し
2025年度の通信機器の需要総額は4兆6,938億円と予測されており、国内需要が4兆4,205億円(前年度比1.6%増)、輸出が2,733億円(同0.2%減)となる見込みです。特に増加が見込まれる主要機器を見ていきましょう。
| 2025年度見通し (億円) | 対2024年度増加額 (億円) | 増加率 |
|---|---|---|
| モバイル通信端末(公衆回線付) 32,513 | 633 | 2.0% |
| 基地局通信装置 2,250 | 150 | 7.2% |
| デジタル伝送装置 1,988 | 28 | 1.4% |
| ルーター 1,289 | 19 | 1.5% |
| LANスイッチ 1,681 | 13 | 0.8% |
コンシューマ関連機器
モバイル通信端末は、一時的な買い控えや買い替えサイクルの長期化が見られたものの、2024年度の反動増に続き、2025年度も需要の増加が続くと予測されています。新しい端末への買い替えを検討している方にとっては、引き続き注目すべき分野となりそうです。

ビジネス関連機器
ボタン電話装置やPBX、事業所用コードレスホンは、ワークスタイルの変化に伴い、コミュニケーション基盤の再構築が進む中で、投資が新たなコミュニケーションツールへとシフトしていくことが見込まれます。ファクシミリ(複合機を含む)も、企業のデジタル化推進により需要は減少傾向にあると予測されています。


インフラ関連機器
デジタル伝送装置や基地局通信装置は、データトラフィックの増加や5Gサービス拡大への対応から、国内需要が増加すると見込まれています。5Gエリアのカバー率向上やSA方式の普及により、無線バックホールやフロントホール向けの需要も堅調に推移するでしょう。官公庁向けの防災関連予算も、この分野を支える重要な要素です。

インターネット関連機器
ルーターは、クラウドサービスの拡大、DX推進、Web会議の普及、そして5GやWi-Fi 6/6E/7といった新技術の活用により、キャリア向け・企業向けともに設備投資の継続が見込まれます。LANスイッチもトラフィック増加に対応するための投資が続きます。高速で安定したネットワーク環境を求める声に応える形で、これらの機器の需要は高まるでしょう。

2030年度に向けた中期展望
2030年度の通信機器市場総額は5兆1,307億円と、2024年度比で10.9%の成長が見込まれています。国内市場は4兆8,676億円(年平均成長率(CAGR)1.9%)、輸出は2,630億円(CAGR -0.7%)と予測されており、国内市場の堅調な伸びが全体の成長を牽引する形です。
| 2030年度予測 (億円) | 対2024年度増加額 (億円) | 増加率 |
|---|---|---|
| モバイル通信端末(公衆回線付) 36,853 | 4,973 | 15.6% |
| 基地局通信装置 2,547 | 448 | 21.3% |
| デジタル伝送装置 2,133 | 172 | 8.8% |
| ルーター 1,344 | 74 | 5.8% |
| LANスイッチ 1,720 | 52 | 3.1% |
| 固定通信装置 1,484 | 10 | 0.7% |
コンシューマ関連機器
モバイル通信端末の国内需要は、AI機能の訴求や5G SA(Stand Alone)方式の普及、そして5Gならではのサービスが登場することで、緩やかな増加が期待されます。スマートフォンの買い替えを検討しているなら、AI機能や5G SA対応が今後の選択肢の重要なポイントになるでしょう。世界の携帯電話市場でも5G対応スマートフォンの拡大は確実視されています。

ビジネス関連機器
ビジネス関連機器では、ボタン電話装置やPBXがクラウド化の影響を受け、減少傾向が続く見込みです。事業所用コードレスホンも、スマートフォンの代替が進むと予測されていますが、病院や介護施設など特定の分野では引き続き需要が見込まれます。


インフラ関連機器
インフラ関連機器は、5GやIoT、そして生成AIを活用したサービスが普及するにつれてトラフィックが爆発的に増大するため、ネットワーク設備の増強が不可欠となります。デジタル伝送装置や基地局通信装置は緩やかな増加が見込まれ、特に2030年度以降は6G向けの投資が市場をさらに押し上げるでしょう。

インターネット関連機器
インターネット関連機器市場では、ルーターがWeb会議や動画コンテンツ、生成AI・大規模言語モデル(LLM)の普及によるトラフィック増加、アクセス回線の高速化、セキュリティ機能強化といった要素により、引き続き需要を伸ばすでしょう。LANスイッチも同様に、トラフィック増加と接続端末の増加に対応するための設備投資が継続すると予測されています。光アクセス機器は、大容量コンテンツの需要拡大と高速サービス利用の増加が市場を牽引する見込みです。

レポートの詳細と購入方法
この詳細な需要予測レポートは、通信機器市場の将来を見据える上で大変貴重な情報が詰まっています。ぜひ、ご自身のビジネスや投資判断にお役立てください。
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一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会 市場調査部 前野剛
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広報に関するお問い合わせ先:
一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会 広報部 佐藤靖夫
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